調停中に共有財産の処分や譲渡がされないか心配な場合

離婚調停の申し立てを行い相手側がすぐに離婚に応じてくれて、なおかつその他費用に関してもスムーズに話ができるというのは非常に珍しいケースです。
基本的にはそれ以前に協議でしっかりと話し合いができなかったからこそ、調停へと持ち込まれることになりますので、時間が必要になります。
長ければ、調停が成立するまでもしくは不成立となるまで半年以上もの時間が必要になりますので、この間、相手側が共有財産を勝手に処分してしまったりすることも考えられます。

離婚に向けての話し合いをしている以上は、やはり共有財産についての心配が及んでしまいますので相手側が焦って財産を売ってしまうことや隠してしまうことなどがあります。
これを防ぐためにはまず調停を申し立てる際に調停前の仮の処分を行うことができます。

【仮処分でできること】

調停前の仮処分で行えることは、この処分を申し立てることによって家庭裁判所側の職権発動を行うことのとなっています。
この処分をした後で相手側が勝手に財産を処分してしまったりした場合には、その際の譲渡行為そのものがすぐに違反するとみなされるため財産の処分が無効になり、10万以下の過料に処せられるといった決まりがあります。

【強制執行力は持っていない】

上記のとおり、家庭裁判所からの職権発動ということになりますが、強制執行力を持っていませんのであくまでも相手側に対し、勝手に財産を処分してしまうと譲渡行為そのものや処分は違反になりますと知らせるものになります。
そのため前述の通り、この処分に従わなかった場合には、制裁が決まっていますが、強制執行力がないとはいえ、どうしても財産が心配な場合には、こういった申し込みをしておくと良いでしょう。
この処分の申立をするには調停の申し込みをする段階で同時に行っておくのが最も良い方法といえます。

【口座情報に関しては、あらかじめ残高証明書をもらっておく】

調停の申し立てをした後に相手側が勝手に夫婦で使用していた口座を解約してしまうことがあります。
こういった場合については、あらかじめ残高証明書を取得しておくことでどれだけの財産が隠されてしまったのかについても証明することができます。
また、調停でしっかりとした話ができなかった場合には裁判へと移行することになりますが、裁判でもやはり同じように時間が必要となるためここでも財産が心配になる場合には審判前の保全処分というものがあります。

あくまでも前述したのは調停の申し立てを行ってから、調停が終了するまでの期間、財産の処分について処分してはいけませんと家庭裁判所が相手側に忠告する方法となりますが、審判前の保全処分にはさらに強制力がありますので必ず行っておくと良いでしょう。

【審判前の保全処分とは】

調停離婚で話し合いがつかずその後審判離婚や裁判をするといった場合には、家庭裁判所に審判の申立をする際に審判前の保全処分を申し立てておくと良いです。
こちらは前述の調停前の保全処分とは違い、強制執行力がありますので万が一、相手側がこの処分に違反して財産を隠したり処分した場合にはそれに伴う費用の差し押さえなどが可能になっています。

また保全処分を出す必要性があるかどうかを充分確認した上で行われる措置となっていますので、相手側が財産を処分してしまう心配がなければ審判前の保全処分は成立しません。

【処分の内容について】

審判前の保全処分で何を対象に処分が行われるのかというと、夫婦共有財産の処分禁止をはじめとして占有移転禁止等の仮処分、

  • 仮差し押さえ
  • 婚姻費用や養育費の仮払い
  • 子どもの引き渡し

などになっています。

審判や裁判離婚へと移行する際にこの申し立てを行っておくことで共有財産となる者に対する民事上の保全処分手続きが行われますので、相手が土地や家などを売ろうとしても売れない状況を作ることができます。
離婚に向けての話し合いをする中で、財産の分与やその他慰謝料の支払額についてもしっかりと話し合わなくてはなりませんので相手が勝手に処分してしまうような危険があるときには必ずこの申立をしておくようにしましょう。

このような申立をしておかないと後になって財産を使われていたということがわかった場合にも、改めて裁判を起こさなければならず、簡単には手元に戻すことができなくなってしまいます。
仮に現金として手元に返還するように命じることができても、それまでには長い裁判期間と裁判費用が必要になるため、事前にこのような保全処分を取っていた方が良いといえるでしょう。
詳しくわからなければ弁護士に相談すると、こうした部分に関してもしっかりと教えてくれます。
またその際には、どれだけの共有財産が残されているのかなどについて必ずわかりやすく説明できるように情報をまとめておきましょう。

夫婦の共有財産は、どちらかが勝手に使い込んでしまって良いものではありません。
あくまでも離婚する際には、それぞれ分与する決まりがありますので相手が自分の取り分以上に財産を使い込んだり隠してしまったなどの場合には後々大きなトラブルになります。
離婚ばかりに意識が向いてしまい、財産については考えていなかったなどと言う人もいるようですが、後で後悔しないためにも必ずこうした処分について念頭に置くようにしましょう。

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