法定離婚の中で最も多くの理由となる「悪意の遺棄」とは?

法定離婚をする際に最も多くの理由となってくるのが「悪意の遺棄」になります。

民法770条には配偶者から悪意で遺棄された時には離婚請求ができるといった決まりがあり、多くの場合でこの悪意の遺棄を理由として離婚請求ができるようになっています。

【悪意の遺棄とはどんなものか】

悪意の遺棄というのは一つだけではなく、非常に様々なケースがあります。
これまでに該当したケースなどを含め代表的な悪意の遺棄とは

  • 生活費は確認をされないといった場合や配偶者に対して配偶者としての扱いをしない場合
    家庭に生活費を入れないというのは当然悪意の遺棄になりますが、配偶者としての扱いをしないというのは本来夫婦間で話し合って決めなければならないことを独断で何でも決めてしまうなどのケースになります。
  • 特に大きな理由もなく同居を拒否する
    大きな理由などもなく同居を拒否するというのは悪意の遺棄に当たり離婚原因になります。
  • 家出を繰り返す
    ちょっとした夫婦げんかなどで家出を繰り返し数日から数週間程度戻ってこないことが何度もあると悪意の遺棄に該当します。
  • 特別な理由もなく一方の配偶者がアパートなどを借りて生活をしており、何度話し合いを持っても同居そのものを拒否する
    どうしても仕方がないケースを除き、自由気ままな生活をしたいが為にアパートを借りてどちらか一方の配偶者が勝手な生活をしているなどの場合には悪意の遺棄に該当します。
  • 家庭内での虐待やわざと家を出るようにしむける
    家に帰ってくるのが嫌になるように、わざと嫌がらせをしたり虐待と思われるような言動を繰り返し、相手を精神的に追い込んだりする場合には、悪意の遺棄とみなされます。
  • 生活費そのものはしっかりと家庭に入れてくれるけれども自宅には戻らず愛人の家で生活をしている
    この場合には不貞行為そのものも離婚の原因となりますが、いつまでも自宅に帰ってこず、話し合いもできない状況でお金だけ送り続けるというのは悪意の遺棄になります。
  • 姑関係を理由に実家に帰ったまま、一方の配偶者がいつまでも自宅に戻ってこない
    まずは姑関係を修復するために夫婦もしくは姑関係などすべて含めた上で話し合いを持つことが大切なりますが、こういった努力をせず実家に帰ったまま戻らないのは悪意の遺棄になります。
  • 何らかの理由があり生活を送ると約束をした上で撤去したにもかかわらず、生活費を入れてこない
    夫婦間でしっかりとした話ができていれば別居すること自体は悪意の遺棄にはなりません。
    しかし、生活費を送ると言った約束で別居したにもかかわらず、その条件をしっかりと満たしていないようであれば、悪意の遺棄にあたります。
  • 身体的にも精神的にも健康な状態にもかかわらず夫が働こうとしてくれない
    特別大きな理由がなく、いつまでも仕事をしないというのは家庭を顧みていませんのです家族は当然困ることになります。
    これがわかっていながら、いつまでも仕事をしないというのは悪意の遺棄になります。

上記のように複数のケースが悪意の遺棄と該当するのですが、状況によって悪意の遺棄には該当しないケースがありますので、覚えておかなくてはなりません

【悪意の遺棄にならない場合】

どのようなケースであれば、悪意の遺棄にならないのかというと

  • どちらか一方の不貞行為が原因となってしまい顔を見るのも辛く、一時的に無責の配偶者が自宅を出て少し気持ちを鎮めるための別居などの場合には悪意の遺棄に当たりません
  • 配偶者による暴力などがあるため、自分の身を守るために1時的に自宅を出て同居することができないというのもやむを得ないと判断されます
  • 仕事上仕方がなく入った新赴任や転勤等で別居せざるをえない状況
  • 夫婦関係がギクシャクしてしまい、今後の生活において夫婦関係を修復するために一時的に冷却期間として別居する
  • 子供の通学やスポーツ関係の習い事など教育上どうしても必要だと思われる別居
  • 病気の治療薬療養のために別居する場合

上記のようなケースでは、悪意の遺棄とみなされることはありません。

【そもそもの夫婦の義務とは】

夫婦になる以上は民法で定められている夫婦としての義務をまっとうしなければなりません。
ここでの内容は夫婦は同居し互いに協力、扶助し合わなければならないと言うものになっています。
また法律用語に言い換えると

  • 同居義務
  • 協力義務
  • 扶助義務

この三つになります。

前述した悪意の遺棄の内容というのは、これら三つの夫婦の義務を果たしていないということになり、離婚の大きな理由になります。

【専業主婦が家事を放棄してしまう】

近年では共働きの夫婦も増えてきましたが、専業主婦であるにもかかわらず家事そのものを放棄していて、ほとんど家のことをしないなどの場合には扶助義務に違反していると判断され配偶者からの離婚請求が理由になります。

【共働きの場合】

一方で、共働きをしている場合には、夫婦ともに仕事で拘束される時間なども多く、妻ばかりな家事や子育てといった部分での負担をするのは難しくなってくるため、ある程度家事や子育てに無理が出てしまうのは仕方がありません。
こうした状況をわかっていながら夫が協力しなかった場合には、反対に夫側が扶助義務に違反しているということになってしまいます。

【そもそも悪意とは何を示すのか】

法定離婚の原因となる悪意の遺棄について、ここでの「悪意」というのは何を示しているのか、というと夫婦関係を続けていく中で遺棄、または放棄してしまえば、夫婦関係がうまくいかないということが簡単に想定できるにもかかわらず、それでも構わないと言った気持ちで言動を起こしてしまう内容となっています。
そのため、悪意の遺棄とみなされないケースと悪意の遺棄にみなされるケースがあり、誠実な心理状態や態度を示し、夫婦関係における三つの義務を果たしていない場合には、悪意の遺棄ということになります。

【すでに夫婦関係が破綻している場合の別居】

前述した通り、夫婦には協力義務と言うものがありますので不必要に別居すると悪意の遺棄に該当してしまうことになります。
ただしすでに夫婦関係が破綻しており、今後一緒に生活をしていても意味がないと思われる場合の別居であれば、夫婦関係の破綻そのものは別居ではありませんので別居が悪意の遺棄にはならず、その他に婚姻を継続しがたい重大な事由があると言う判断になります。

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