判決事例|「家事や育児への不協力」は専業主婦か兼業主婦かが鍵に!

夫婦には共に「協力義務」、「同居義務」、「扶助義務」という三つの義務が生じています。
そのため、どちらか一方がこうした義務を果たすことなく夫婦関係が破綻に追い込まれてしまうような状況は、三つのうちいずれかの義務違反となり法定離婚をする際の原因になります。

その際の理由というのは「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」となりますが、家事や育児に対しての非協力的な態度もこれに該当するケースがあります。
もちろん全てではありませんので判決の状況などについてはそれぞれのご夫婦のスタイルによって変わってくるものです。

【専業主婦と兼業主婦の違い】

近年ではイクメンやカジメンなどという言葉が出てきており、夫側が家事や育児に協力することが当然のように言われています。
もちろんある程度は家事や育児に協力することが大切ですが、一般的に夫は外に働きに出て家族が生活できるだけの収入を得てきていますので、これが夫として家庭に対しての責任であり、妻は主婦として家事や育児などをメインにこなすことが責任となっています。

専業主婦であっても例えば交通事故による保険など考えた場合、育児や家事などを専業主婦の仕事として保険料が支払われるほどです。
そのため家事や育児への協力を理由に婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚する際には、専業主婦であるか兼業主婦であるかという部分が大きなポイントになります。

【個人的に非協力と思うだけでは離婚できない】

毎日の生活の中で夫がもう少し家事や育児を手伝ってくれたら楽なのにと思う人はたくさんいます。
しかし客観的に見て全く家事や育児への協力をしてくれないというケースであり、なおかつこれが原因で夫婦関係が破綻してしまうといった場合には、ここで初めて婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして法定離婚での離婚判決の可能性が出てきます。
あくまでもこれは客観的に判断した場合にそう思われるケースとなっていますので、日頃からある程度は夫が家事や育児に協力していても、個人的にまだ足りないと思うケースではなかなか離婚は認められません。

またこのような家事や育児への協力というのは妻から夫に対して思う部分だけではなく、夫から妻に対して思う部分も離婚判決が認められるケースがあります。

【夫婦が共働きをしていての状況のケース】

夫婦が共働きをしていて尚且つ夫側が家事や育児に対し夫が極端に非協力なため妻が離婚裁判を起こした場合についてですが、こうした課題に関してはあくまでも共働きをしていて、妻も夫と同じように長時間仕事で拘束されているということが論点になってきます。
妻が午前中だけパートに出ており、午後は育児や家事をする時間があるにもかかわらず、その中で主婦としての仕事をせず夕飯を作らなかったり、子育てに関してもほとんど放棄しているといった状況では夫の家事や育児に対する協力を理由に離婚することはできません。

あくまでも夫婦2人が同じような状況で働いており、パートを含めて夫と妻の仕事での拘束時間が同等の場合に、その他の時間で家事や育児をしていれば夫の非協力を理由に婚姻を継続しがたい重大な事由として認められることがあります。

【キッチンドリンカーの妻を相手取った離婚裁判】

毎日夕飯を作る立場である妻がキッチンドリンカーのため調理中にお酒を飲んでしまい、そうなると、その後調理をしてくれず夕飯がしっかりと出来上がらないなどの場合には、妻がアルコール中毒である可能性が高くなります。
そうなるとキッチンドリンカーでしっかりと調理をしてくれず、食事が出来上がらないことを理由に家事への協力として夫側が離婚裁判を起こした場合、まずは妻がアルコール中毒かどうかと言う部分に焦点が集まります。

実際にアルコール中毒だった場合には入院や療養などによってアルコール中毒を直し、その後は家事や育児が一般的に行えるようであれば、まずは夫婦が協力してアルコール中毒の改善に取り組まなければなりません。
単純にアルコール中毒で食事を作らないという理由だけでは、婚姻を継続しがたい重大な事由とはなりません。
ただしこれが理由で夫に物を投げつけたり、病院に連れて行こうとしても病院には行かない、もしくは入院しようという話になってもすぐに抜け出してきてしまうなどの場合には婚姻を継続しがたい重大な事由として認められることもあります。

【家事をせず、妻が実家に帰ってきて戻ってこないケース】

実家での生活をしていると、自宅での家事育児などをしなくて良いからと楽をするため、妻が実家に戻り数週間から数ヶ月戻らなかったり、頻繁に実家に戻るたびに数週間も取らないなどといったケースでは、家事や育児への協力もしくは協力義務や扶助義務に反しているとして離婚判決が下されることがあります。
ただしこの場合には婚姻を継続しがたい重大な事由というよりも、「悪意の遺棄」として認められるケースがほとんどで、どの程度の期間実家に戻り、自宅には戻らなかったのかについてや子供の有無等が大きく問われてくることになります。

家事や育児への協力に関しては上記のように細かなポイントがありますから、個人的に非協力と思っていたり、物足りないと思っているだけではこれを理由に離婚するのは難しいと考えておきましょう。
もちろん協議離婚であればこれを理由に離婚することは可能ですが、法定離婚の場合には婚姻を継続しがたい重大な事由として、このような家事や育児への協力が認められるかどうかは最初にも書いたとおり、それぞれの夫婦のスタイルによって違ってきます。

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